第20回 GMP担当職員研修講座のご案内

謹啓 平素は格別のお引き立てを頂きましてありがとうございます。
新型コロナが「5類」に引き下げられましたが、まだまだ自粛が求められる毎日が続いており、皆様方も対応に苦慮されていることと存じます。
NPO-QAセンターでは、毎年、夏に開催しています『GMP担当職員研修講座』を下記要領で開催します。

― 記 ―

本講座は実務経験豊富な講師陣により「机上論的なGMP」でなく、各講師が実務で経験したことを主体として、昨今多発しています医薬品の不祥事を念頭においた講座を計画しています。

この機会に是非、受講へのご参加をお願い致します。


日 時 :
2023年7月20日(木)  9:50 ~ 16:30 (受付開始 9:30~)
2023年7月21日(金) 10:00 ~ 16:30 (受付開始 9:30~)
場 所 :
7月20日 (木): 大阪産業創造館 5階 研修室A・B   https://www.sansokan.jp/map/
7月21日 (金): 大阪産業創造館 6階 会議室E
定 員 : 50 名(先着順、定員になり次第、締切とさせていただきます。)
受講料 : 2日間
NPO-QAセンター会員(法人・認定講座合格者)は 40,000円/1名
NPO-QAセンター会員以外は           60,000円/1名
【 振込先:申込受付後、連絡をさせていただきます。】
申込方法 : 下記のURLからダウンロード後必要事項をご記入の上、返信でお送りください。
http://tiny.cc/4hl7vz

または、下記申込書をダウンロードしていただき、ご記入後E-mailでのお申し込みをお願いいたします。
第20回GMP担当職員研修講座申込書

なお、満席になり次第ホームページにて締め切りのご案内をいたします。

主 催


特定非営利活動法人
医薬品・食品品質保証支援センター(略称:NPO-QAセンター)
〒540-0026 大阪市中央区内本町1-4-12 3階
E-mail:npo-qa@galaxy.ocn.ne.jp / TEL 06-6910-1455/FAX 06-6910-1456


講演プログラム

【プログラム】講師は全員NPO-QAセンター会員です。
7月20日(木)
9:50~10:00開会の挨拶NPO-QAセンタ-理事
高平 正行
10:00〜10:30第1講 「GMPの重要性再確認」鷲見 裕
10:30〜10:40― 休 憩 ―
10:40〜12:00第2講 「責任役員のGMP教育」高木 肇
12:00~12:50― 休 憩(昼食) ―
12:50〜13:50第3講 「医薬品の製造に係わる知識の管理と伝達における工場の役割」三宅 正一
13:50〜14:00― 休 憩 ―
14:00〜15:00第4講 「機械の機能と機構の関係及び保全管理」倉田 邦彦
15:00〜15:10― 休 憩 ―
15:10〜16:30第5講 「技術指導・監査等から見た包装工程の指摘事例と改善策」岡田 克典
7月21日(金)
10:00〜11:30第6講 「『虫混入』の国外原料製造所への監査と『監査員教育』の教材紹介」島田 明
11:30〜12:20― 休 憩 (昼食) ―
12:20〜13:40第7講 「製剤開発に関するガイドライン(ICHQ8)について」谷野 忠嗣
13:40〜13:50― 休 憩 ―
13:50〜15:10第8講 「適正なCAPAとは?」初代 秀一
15:10〜15:20― 休 憩 ―
15:20〜16:20第9講 「QC(試験検査)の役割と養成について」奥川 隆政
16:20〜16:30閉会の挨拶

※ 質疑応答:質問用紙や、メールにて質問を受け付けます。
後日、回答を受講者全員に連絡させていただきます。


講座要旨

1日目(7月20日)

第1講 GMPの重要性再確認(鷲見 裕)
 何らかの理由により製造所内で不良医薬品が発生してしまったとしても、そのまま市場に、つまり患者様に届くことのないシステム(PQS)が確立されていることが大切である。
しかしながら、もともと不良医薬品を発生させないことがもっと大切であり、このためにGMPが正しく理解されなければならない。現時点で改めてGMPの重要性を再確認したい。

第2講 責任役員のGMP教育(高木 肇)
 不採算に陥った古いジェネリック薬でも安易に撤退できないため、利益確保のために次々と新規の取扱品目を増やしていく。結果として製造現場の負担は増大し疲弊する。この現場の状況を見ず、経済優先論理で突き進むトップの姿勢が品質不正事案の遠因になっているのではないか。品質不正事案の再発防止策としては、何よりも最初に責任役員の意識改革が必要であると考える。では誰が責任役員に教育するのか。悩ましい課題に対し一石を投じる講演である。

第3講 医薬品の製造に係る知識の管理と伝達における工場の役割(三宅 正一)
「製造の知識の管理と伝達」と言うと、研究部門で開発した製造方法を工場に教え、工場は教えられた方法に従って医薬品を作ればいいんだ」と言うような捉え方をされがちだが、研究部門で開発した製造方法は謂わば「設計図・骨組み」であって、設計図に叶った物(医薬品)を商業生産規模で作るには「骨組み」に製造設備や環境を考慮した「肉付け」をしていかねばならない。この「肉付け」を行い、医薬品の製造に関する知識を完成させるのは工場の役割である。原薬の製造例を通して医薬品の製造に係わる知識管理と工場の重要性を再認識してもらう。

第4講 機械の機能と機構の関係及び保全管理(倉田 邦彦)
医薬品の製造は、製造設備なしでは製造できなくなっている。そのため、所定の医薬品品質を得るには、製造設備の「設計条件」を維持管理することが重要となる。製造設備の設計条件は基本設計時に必要な「機能数字」と、その機能数字を実現するために採用した「構造(機構)」によって決まってくる数値「機構数字」がある。殆どの場合、設備の維持管理は「機構数字」を管理しているが、異常が発生した場合「機構数字」と「機能数字」の関係を理解していないと誤った対応をすることになる。
本講座では製造設備設計時に必要となる機能と機構の関係についての説明と製造設備の保全管理について述べる。

第5講 技術指導・監査等から見た包装工程の指摘事例と改善策(岡田 克典)
 これまで行ってきた技術指導や監査を通じて強く感じたことは「製造建屋や設備機器類が比較的新しくても、そこで起こっている事象は30~40年前に経験したことが未だに存在」していることである。
この要因は、人・もの・設備との組合せ方、予測予防への品質保証対応やリスク管理への考え方が乏しく出口管理による事後対応型(結果オーライ)で終わっていないか。『品質は、工程で創り上げていくものである』ことの必要性・重要性をPMDAが定期的に発出しているオレンジレターを類した形で、幾つかの課題・指摘事例と改善策を紹介する。

2日目(7月21日)

第6講 「虫混入」の国外原料製造所への監査と「監査員教育」の教材紹介(島田 明)
(1)「虫混入」の国外原料製造所の監査事例
原料の前処理作業で虫混入を発見。急ぎの監査申し入れ結果「何処にでもいる虫で、当局の監査でも問題を認めていないので受入れ出来ない」との回答で購買部も大慌て。「少量購入」の弱みの中で「監査と返品」の交渉をし、円満解決の監査事例を紹介する。
(2)「監査員教育」の教材紹介
監査員は「会社の顔」と教えますが「心構えと立振る舞い」の教材は揃っていますか?「会社代表」としての認識(中立と高潔性等)と目付処(体系化された知識)と見習い教育時に併用する「自己評価表」での「批判的思考スキル」訓練事例を紹介する。

第7講 製剤開発に関するガイドライン(ICHQ8)について(谷野 忠嗣)
 製剤開発に関するガイドライン(ICHQ8)の冒頭には、製剤開発の目的は適正な品質を有する製品を設計すること、及び意図した機能を有する製品を一貫して供給できる製造工程を設計することと明記されている。つまり、製剤設計と製造設計は製剤開発において両輪であると規定している。しかしながら、製品の付加価値を追求するあまり、製剤設計に重点が行ってしまい、製造設計が不十分なままで申請を行ってしまうことが危惧される。結果として承認された製造法で商用生産を行った場合、様々な不具合が生じてしまい、これが不祥事の原因となることも考えられる。このような事態を避けるために留意すべき点などを実例を踏まえて解説してみたい。

第8講 適正なCAPAとは?(初代 秀一)
 昨今、GMPでは製品の継続的改善として是正・予防措置(CAPA)の重要性が問われているが、実際に製造現場で発生する逸脱、製品品質不良(OOS)及び市場クレーム等、CAPAは広範囲に適用される品質リスクマネジメントの一つである。しかし、各社ともCAPAの取り扱いはリスク対効果の観点から優先性を決めていることが多く、非常に悩ましき問題である。演者がこれまでに経験又は監査した事例を踏まえて、CAPAが形式的になっていないか、適正な是正・予防措置の要件とは何か、継続的改善に結びつくCAPAの在り方について解説する。

第9講 QC(試験検査)の役割と養成について(奥川 隆政)
 試験検査組織(QC)は、6つのサブシステムの中でも科学的評価する重要な位置を占めている。
このため、データインテグリティなどデータの高い信頼性保証の構築が求められている。一方、品質保証組織(QA)は、品質システム(PQS)運用で、多くの役割を求められ、質・量の確保も求められている。 このため、QA担当者には、現場経験など実践的な経験に基づいた効果的なリスク評価による照査・承認 と運用が求められ、QCや製造の経験等が必須となる。このように製薬企業では、多様な人財の育成が求められているが、人財の確保、採用や登用などで課題が多い。試験検査を例にとり、GMPにおけるその役割と育成について触れたい。

以上